4.電気技術者はどのような仕事をしているの?

 電気工事会社の仕事の内容を見てきたところで、具体的には電気技術者はどのような仕事をしているのか、見てみましょう。ここでは、電気工事の現場施工の作業の様子を紹介します。

【1】住宅編

 Aさん(電気技術者) Sさん(事務員)

 Aさんは、現場に向かう前に、工務店からファックスが届いていることに気づいた。昨日、聞かされたコンセント増設の件だ。
 Aさんは、現在、新築の木造住宅で施工を行っているが、オーナー様は、新築の住宅に合わせて新しい家電をご購入されるということだ。新しい家の図面にあるコンセントと、今度購入される家電製品の数を比べて、コンセントの数が足りないと思われたようで、工務店のほうに連絡があったのだ。
 工務店のほうからAさんに相談があり、Aさんはコンセントの増やせそうなところと追加料金について提案していた。工務店はその案をオーナー様に提案し、今朝その返答が来たところだ。
 「Sさん、図面の修正をしておいて」
 FAXに書かれた、コンセントの追加情報をコピーして事務所に座っている社員のSさんに渡し、現場に向かった。現場に着くと工務店の監督が待っていた。
 「Aさん、ありがとね。お施主さん(オーナー様)も喜んでたよ」
 「いや、お安いご用ですよ」
 コンセントを増設する部屋は、すでに石膏ボードと呼ばれる建材が張られて配線やスイッチボックスが見えない。
 「さて、ボックスの穴開けをしよう」
 事前に配線と設置をしたコンセント用のボックスの穴開け作業を行う。床に出した、位置と高さを見て、その位置に印をつけ、その印に引き回しのこぎり(回し引きのこぎり)で、穴を開ける。
 コツンと当たった感触で、ボックスがあることを確認したAさん。左右にボードをボックスの幅まで切っていき、さらに両端の上下をボックスの幅まで切っていった。ちょうどH型の形に切込みを入れる。
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 それが終わるとカッターを出し、切込み部分の上と下を切る。そして真ん中を押すと、スイッチボックスの大きさピッタリに穴が開く。
 穴を開けてから、穴の中に手を突っ込んで配線されたケーブルを引っ張り出す。
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 穴を開けてから、穴の中に手を突っ込んで配線されたケーブルを引っ張り出す。
 「そしてここから増設用の配線をしないとな」
 Aさんはそこから400mmほど離れた場所を確認する。先ほどのコピーをもう一度確認、ちょうど確認しているところに監督が来た。
 「ここでいいですね」
 「そう、そこだよ。昨日、お施主さんが測っておられて、その場所がベストだそうだよ」
 「柱が間に無いようなので、多分、配線も楽でしょう」
 コンセントを増設する場所の高さを測り、そこからコンセント取付け用の穴を開けた。そして、先ほどのコンセントの穴からケーブルを新たに通し、増設するコンセントの穴に配線し終えた。この後、クロス(壁紙)が貼られれば、いよいよコンセントの取付けになる。
 「これで、コンセント増設は大丈夫ですよ」
 「ありがとう、お施主さんのほうにも報告をしておくね」
 気がつくと会社からLINEでメッセージが入っていた。Sさんから図面に増設したコンセントを追加したという報告だった。
 スマートフォンでクラウドにアップされた修正図面を確認すると、確かに今、自分が穴を開けた場所にコンセントの記号が追加されている。Sさんに「ありがとう」のスタンプを送ると、次の作業に取り掛かった。

【2】非住宅編

 Bさん・Cさん(電気技術者) Dさん(職長)

 Bさんは、駅前に新築中のオフィスビルで施工を行っている。今日も相棒のCさんと一緒に、昼ご飯を食べながら午後の予定を話し合っている。職長のDさんが戻ってきて言った。
 「現場代理人に聞いたら、2階の型枠の片づけが終わったみたいだから、午後から通線を頼める?」
 Bさんが答えた。
 「自分たちの作業もちょうど終わりましたから、大丈夫っすよ」
午後一番、Bさんは2階の部屋に電線を運び、職長のDさんと図面を確認しながら指示を受ける。
 Bさん 「では、Cさんと一緒にこの部屋の通線作業ですね」
 Dさん 「よろしく頼むね」
 通線では、コンクリート内部に埋められた配管に電線を通す。Cさんは電線を引っ張るほうから入線工具の頭を入れ、押していく。
 Bさん 「オッケー!頭が出たよ」
 待っていたBさんのボックスのところに入線工具の頭が出た。急いで入線工具の頭に電線を取り付ける。
 Bさん 「取り付けました、引っ張ってください」
 Cさん 「せーの!」
 Bさん 「そーれ!」
 Cさん 「せーの!」
 Bさん 「そーれ!」
 掛け声で引っ張るタイミングと送るタイミングを合わせる。
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 Cさん 「オッケー!大丈夫です」
 Bさん 「はーい!」
 Bさんは、適当な長さに切断。ビニールテープに電線の用途を記載した。
 Cさんが戻ってきて、Bさんは言った。
 「よし!次いこう!」
 二人で電線を運び、次の通線の準備を始めた。



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